ロングマフラー

 
 
空を見上げれば、ちらちらと雪が舞って来るのが分かった。 
 
『へーーーーーーーー         きしッ!』 
 
そんな雪達のダンスに紛れこみ、
MZDは大きなくしゃみをした。 
 
『あらあら、神君、大丈夫?』 
 
ズズっと鼻をすすり、身震いするMZDの横には
今降りつづける雪達の精霊のように、真っ白いコートに身を包んださなえがいた。
彼女は心配そうにMZDの顔を覗きこむ。 
 
『あー…ちとこの格好は寒いな〜』 
 
襟元が丸く開いたその服は、
お世辞にも温かい機能は持ち合わせているとは言えない。
MZDが再度くしゃみをすると、さなえはさらに不安そうな表情を見せた。 
 
が… 
 
 
 
ふわり、と優しく柔らかな感触が急にMZDの首にまとわり
それは心地良い暖かさを産んだ。
なんだ? と思ったのもつかの間。
MZDは、自分の首に長いマフラーが巻かれているのに気がつき
にっこり微笑むさなえを見上げた。 
 
『お、おい?これって…?』 
 
『それ、スギ君にあげるために今日買ったマフラーなんだけど…
神君にあげるね。そんな格好じゃ、風邪引いちゃうもの』 
 
『…い、良いのかぁ?スギのヤローにやるはずだったんだろ?』 
 
『良いの良いの。スギ君には他の買うから。
それに…神君への、ちょっと早めのバレンタインプレゼントって事で』 
 
クスッと微笑むさなえを見て、MZDはどうも複雑な気分になる。 
 
『ん、まぁ〜そう言うことなら良いけど よ?
このマフラー、ち〜っとばかし、オレには長いんだけど…?』 
 
そう言いながらMZDは垂れた方のマフラーを握り、
肩の高さまで持ち上げる。
なるほど、地面スレスレである。
これでは普通にかけていたら、引きずる形になって汚れてしまう。 
 
『あ、本当だ…メンズロングマフラーだから
神君みたいに小さい子だと、長すぎるね』 
 
『…』 
 
悪気がないとは言え、気にしていることを言われて
MZDは少し傷ついた。 
 
『うーん、二重にかけたら見栄えが悪くなるしー…
あ、そうだ!』 
 
さなえは何かを思いついたのか、マフラーを手に取ると
MZDの首にかけなおし、余った部分を自分の首に巻き始めた。 
 
『お、おお、おい??』 
 
戸惑うMZDをよそに、さなえは 
 
『ふふっ これなら丁度良いかな?』 
 
巻き終ったマフラーを軽く握り、MZDへ微笑む。
 
自分の首に巻かれたマフラーが、
同じく、さなえの首に巻かれている。
しばらくそれを交互に見て、
やがてさなえの顔を見て、MZDは思った。 
 
 
 
 
 
 
 
いや、でも…こいつはちょっと天然入ってるし…
けど、なぁ…まさか…とは思うけど…
これじゃぁなぁ 
 
 
 
恋人同士みたいじゃねぇか〜? 
 
 
 
『どうしたの?神君?』 
 
『…!!  べ、べっつにぃ〜〜?』 
 
慌てて顔をそらしてうつむくMZDをみて
さなえはまた、くすりと微笑み。 
 
『神君、あったかい?』 
 
『…まぁー  な』 
 
顔が赤いのは寒さのせい。
顔が熱いのはマフラーのせい。 
 
自分にそう言い聞かせるMZDであったが
何故、こう必死になるのかが分からない。 
 
 
 

『ねぇねぇ、神君』 
 
『っだよ…?』 
 
『これからは、こうやってマフラーかけようか?』 
 
『…………』 
 
『良いでしょ?』 
 
『…………    だ な』 
 
 
 
郡嬢色の世界を 純白のレースが形作る中を
二人はゆっくりと歩き抜けて行った。
 
 
 
 
 
 
 
 
 


 
 
 
 
本家で実施中の女の子キャラ×MZD企画で書いたものを抜粋。
 
私的さなM理想はこんな感じー。
さなえちゃんはMZDの事を、弟のように可愛がっています(リエちゃんと同じ)
弟のように〜〜なので、異性としては見てないですね。あきらかに。
MZDはさなえちゃんの事は知人として、の付き合いをしたいらしいですが
どうにもこうにも、ペースを彼女に持って行かれ勝ち。
ドキマギの付き合いの日々。
 
1P同士だと、ほのぼのなのに
2P同士だと、どうしてセラドロのような関係になるんだ…(苦笑)